薬学部を志望する前に要確認!薬剤師の将来性はどうなの?

薬学部を志望する前に要確認!薬剤師の将来性はどうなの?

薬学部6年間、私立大学であれば入学金・年間授業料を合わせて卒業までに1,000万円以上かかります。一方で、全国の薬剤師不足を背景に、2000年代に入ってから薬学部の新設が相次ぎ、入学定員数は2000年までは約8,000人だったのに対して、令和3年現在は13,000人と以前の1.6倍に増えました。そこで心配なのが、これだけの費用と労力をかけて、卒業後に見合う収入と就職先が確保できるのかということ。この記事では、薬剤師の将来性とキャリアパスについて解説します。

薬剤師の将来性

冒頭で説明した通り、2000年以降に薬学部の新設が増えたことによって将来的に薬剤師余りが懸念されます。まずは、統計で事実を確認していきましょう。

薬剤師は増加

1982年から2020年調査までの約40年間で薬剤師数は約2.6倍に増加、その間に日本の人口は118百万人から125百万人(+6%)にしか増えていないことから考えると、薬剤師の増加は爆発的と言っても過言ではありません。ただ、1984年~2002年で100,044人増加、2002年~2020年も104,505人とほぼ同じ増加数で推移しています。従って、「薬学部の定員増加=薬剤師の総数増加」とは必ずしもなっていないことが分かります。

出典:厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」

薬剤師の就業施設別推移

では、年々増加する薬剤師の就職先の受け皿となっているのはどこなのでしょうか?ご想像の通り、「ドラッグストア」です。日本チェーンドラッグストア協会「日本のドラッグストア実態調査」によると、2000年に全国1万店を超え、2021年には21,725店舗とこの20年で約2倍に増加しました。そのため、以下のグラフが示すように、薬剤師の就業先も薬局/ドラッグストアが急激に伸びています。

出典:厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」

また、就業施設別の割合を2010年と2020年の10年間の変化も見てみましょう。「医薬品関連企業」と「大学」で働く薬剤師の割合が減っていますが、単純に薬局のシェアが伸びたことで減少した訳ではなく、「医薬品関連企業」は2010年 47,256人から2020年 39,044人、「大学」は2010年 7,538人から2020年 5,111人と人数自体が大幅に減っています。製薬会社は合併等に伴い過剰な人員をリストラしていますし、大学もそれに伴い産学協同の研究が減っていることが影響していると考えられます。そのため、薬剤師国家資格の取得者の就職先は8割近くが、ドラッグストアを含む薬局、もしくは、病院等の医療機関になるので、薬学部に進学する場合はこのことを前提に将来設計をすることが肝要です。

出典:厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」

薬剤師のキャリアステップ

前述の就業先施設割合からドラッグストア/薬局での勤務を想像した場合、「単なる販売職と同じじゃないのか?」と疑問を抱く人も多いと思います。ですが、かかりつけ薬剤師制度の導入や在宅医療の推進などの法改正による医療改革の影響もあり、以前よりも高い専門性が薬剤師には求められています。薬の知識に加え、次々に出てくる新薬に関する知識アップデート、患者とのコミュニケーションなど、知識面に加えて対話能力も鍛えなければなりません。

ドラッグストアに就職した場合

小売業は年収があまり高くない印象を持たれていますが、転職サイト「マイナビ薬剤師」の調査では平均年収は製薬会社に次いで2番目となっています。

業種平均年収
製薬会社543.2万円
ドラッグストア512.5万円
調剤薬局488.3万円
病院薬剤師434.6万円
※出典:マイナビ薬剤師

でも、なぜ年収が高いのでしょうか?その理由は、ドラッグストアでは調剤業務以外にも店舗運営に関する様々な業務を担うことや、土日・夜間勤務もあることなどが挙げられます。また、エリアマネージャー、エリア統括、企画職などの本部スタッフなど、店舗でひたすら薬剤師として勤務するだけでなく、多店舗展開しているためマネジメント側でキャリアアップすることで更に年収が上がります。

病院に就職した場合

病院で働く薬剤師は、最先端の医療とも連携しながら仕事ができるので、薬学部生や薬剤師からも人気の就職先です。また、日本病院薬剤師会では、がん、感染制御、精神科、妊婦・授乳婦、HIV感染症の5領域で認定・専門薬剤師を認定しており、これらの資格取得に向けた経験を積める環境でもあります。今後も高齢化社会において薬剤師の専門知識・スキルが必要とされるため、将来的にも安定が期待できる(専門性を高める自助努力の継続はもちろん必要ですが)と言えるでしょう。

認定薬剤師とは?

認定薬剤師とは、日本病院薬剤師会による認定薬剤師認定審査に合格し、特定の専門分野における薬物療法等についての十分な知識と技術を用いて、各医療機関において質の高い業務をしていることが認められた薬剤師です。前述の5領域でそれぞれ領域別に取得が可能です。

専門薬剤師とは?

 「専門薬剤師」になるには、各専門領域での薬物治療の実際的な能力が必要とされ「認定薬剤師(領域別)」の認定を受けなければなりません。この資格は各専門領域での実務経験や実績を積み、一定期間の研修や講習を受け、最終的に試験に合格することで認定されます。また、認定後も5年毎の資格更新が必要となります。

以下に専門薬剤師の資格を紹介します。

  • がん専門薬剤師
  • 感染制御専門薬剤師
  • 精神科専門薬剤師
  • 妊婦・授乳婦専門薬剤師
  • HIV感染症専門薬剤師

病院薬剤師は、これらの専門資格の取得によって手当支給や給料アップにつながる場合もあります。また、専門性を高めることで薬剤師としてより待遇の良い環境への転職等も可能になります。

まとめ

いかがでしたか?薬剤師は人数が増えていますが、ドラッグストアや病院では十分な求人があり、更に地方ではまだまだ薬剤師不足に悩んでいる地域も多く、今後も需要がなくなることはないと考えられます。一方で、就職先によってキャリアステップも大きく変わってきます。薬学部生の間に薬剤師として就職するのか、もしくは、学んだ薬学の知識を活かして医療機器メーカー/サプライヤー・その他企業への就職するのか、やりたいことを明確にしておくと良いでしょう。

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