大学?専門学校?キャリアを考えるとどちらがいいのか

大学?専門学校?キャリアを考えるとどちらがいいのか

少なからずこの記事に辿りついた方は、大学と専門学校のどちらに進学するべきか悩んでいる生徒、もしくは、その親御さんだと思います。高校卒業後に6割が大学に進学する昨今では、大学受験に向けて必死に勉強している高3生が大宗を占めている訳ですが、必ずしも大学進学がベストな選択肢とは限りません。

この記事を書いている私自身も学生時代を昭和・平成前半に過ごしましたが、当時は大学を出さえすれば将来は何とかなるという風潮でした。しかしながら、バブル崩壊以降、日本は長期のデフレ経済に突入、ITの進化によって人々のコミュニケーションが変化し、消費する情報量もそれまでの何百倍にも膨れ上がり、最近では集団から個を大切にする時代になってきたように感じられます。

そして、東大生であっても一昔前までは国家公務員や弁護士、会計士、大手コンサルティング会社などを卒業後の進路に選んでいましたが、今では起業する学生も増えてきたことからも社会の変化や働くことへの意識の変化を伺うことができます。

冒頭で書いたように大学さえ出ていれば生涯安泰という時代は終わりました。また、インターネットにより情報が世の中に溢れたことで、過去の経験や知識はすぐに廃れ、常に新しいものをキャッチアップしていく能力が求められています。そんな中で、高校卒業後の進路を大学と専門学校のどちらに進むべきか悩んでいる高校3年生は多いのではないでしょうか?今回の記事では、大学と専門学校それぞれの特長をまとめました。

大学

大学を卒業すると「学士」が取得できます。企業で働く場合、専門学校卒・高校卒よりも大学卒の初任給の方が月額平均2〜3万円ほど高く設定されています。また、管理職への登用についても差が出る場合があります。筆者自身が転職エージェントとして働いていた経験から、大企業においては、大卒以上は総合職として最高に昇進して社長・取締役まで、専門卒・高校卒では課長までという暗黙のルールがある場合もありました。これだけを書くと非常にネガティブな印象になりますが、大企業の場合は課長クラスの部下は数十人規模になり、年収は1千万円以上というケースもありますので、仕事のやりがいや待遇面では申し分ない水準と言えるでしょう。

また、大学に通うメリットは就職だけでなく、学生生活の時間が長く、時間を有意義に使える点も魅力のひとつです。アルバイトに打ち込んだり、インターンシップなどで職業体験を通じて見聞を広める、海外留学で世界を広げるなど、勉強以外の部分で将来につながる経験を得ることも可能です。その反面、自由な時間が多いことから大学4年間を遊んで過ごしてしまう危険性ややりたいことが見つからないなどの状況に陥る場合もあります。

大学に行かないとなれない職業

  • 医師/歯科医師/獣医師
  • 薬剤師
  • 学校教員
  • 大学教授
  • 大企業の総合職

専門学校

専門学校を卒業すると「専門士」が取得できます。専門学校を選択するメリットは、自分の目指す仕事・職種に直接つながる知識・技能を短期間に習得できることにあります。特に技能と資格、両方が必要な職業を目指す場合は、卒業の段階で必要な資格試験を受ける権利を得られることも魅力の一つですです。また、座学による知識習得だけでなく、実習時間なども充実しているため、手に職をつけることも可能です。特殊技能を必要とする職業の企業が自社で学校を設立し、現役の技術者の指導のもと、資格取得から就職まで一貫して引き受けている学校もあり、「本当にやりたいこと」がある人にとっては最短距離で辿り着ける方法でもあります。一方、デメリットとして「入学してみたら自分には不向きな分野だった」「専門分野の勉強に偏り、一般教養を身に付けることができない」などもありますので、先入観だけで分野を決めずに、オープンキャンパスに多く足を運んだうえで学校・専門分野を決定するようにしましょう。

また、「専門学校」は職業訓練校のようなイメージが一般的に持たれていますが、卒業後は就職だけでなく、大学編入という道もあります。専門学校での単位も認定されるものがあるので、大学3年もしくは2年次に編入することが可能です。国公立・MARCH・関関同立以上の場合は、TOEICスコア840以上などの厳しいハードルがありますが、上位校を狙わなければ学校によっては指定校推薦などもありますので、更に専門的に勉強したいという学生には道が拓けています。編入に際しては、大学ではゼミが始まる年次にあたることから各大学とも募集は若干名となっています。

大学編入で指定校推薦がある専門学校の一例

専門学校によっては、系列の大学や指定校推薦などで大学に編入できるチャンスがあります。大学への編入も視野に入れて学校選びをしている場合は、この点も考慮しておくと将来の選択肢も広がります。

専門学校指定校推薦
神田外語学院神田外語大学(100名)、京都外国語大学、駒澤大学、東洋大学、南山大学、日本大学、龍谷大学、麗澤大学など
日本工学院東京工科大学
大阪情報コンピュータ専門学校大阪産業大学、大阪電気通信大学、鈴鹿国際大学、帝塚山学院大学など

4年生の専門学校で「高度専門士」を取得する

平成17年の9月9日の制度改正により、専門学校のうち、修業年限が4年以上等の要件を満たしたもので、文部科学大臣が指定した課程の修了者には「高度専門士」の称号が付与されることとなりました。高度専門士を取得すると、これまでは実現できなかった大学院への進学が可能になったため、専門学校卒業後も専門的な研究を続けたいという夢が叶うことになりました。

専門学校に入るなら一生食べていける、この分野!

看護師

厚生労働省のシミュレーションによると、病院と介護施設など含めて2025年までに約200万人の看護師が不足すると予想されています。(出典:厚生労働省「長期的看護職員受給見通しの推計」)また、夜勤のあるシフト制の労働環境、女性比率が高いなどの構造的な課題もあり人材不足になっています。そのため、25年に不足数を補えたとしても将来に渡っても必要とされる職業であることは間違いないでしょう。

理学療法士・作業療法士

リハビリテーションの専門職として、医療業界や介護業界で非常に需要が高い職種です。高齢化に伴い介護福祉施設で活躍の場が広がっていますので、ケアマネージャーなどの介護系資格を併せて取得することや、スポーツリハビリや心臓リハビリテーションなどの専門分野に特化するなど、自分の興味がある分野と掛け合わせることで可能性が広がります。

IT・プログラミング

IT分野においては、入社時点では大卒の方が給与面で厚遇されていますが、プログラマー→リードエンジニア→プロジェクトマネージャーとキャリアアップするに従って学歴よりも開発スキルやマネジメント能力、コミュニケーション能力、統率力などが重視されています。今後もスマホアプリ、ゲーム、Webサービスや業務系システムなど、IT分野は常に成長と革新が行われているためシステム関連の職種がなくなることは考えにくいでしょう。ただし、どの業界でも同じですが、新し技術に対するキャッチアップの早さが重要です。

建築士

長期的な視点で見ると、今後は日本でも人口減少が進むにつれて住宅需要は減少していきますので、新規に住宅を着工する件数も並行して減少することが予想されています。そのため、今後の建築士の役割としては、戸建て・マンションで定期的に訪れるリフォーム需要、マンションなどの集合住宅の大規模修繕を手掛ける機会が増えると考えれます。タワーマンションや高層ビルなどの大規模建築物では、業界全体として中長期における修繕ノウハウがなく、これらを手掛けるためにも取り扱う建築面積の制限がない一級建築士資格を目指すことをお勧めします。

電気工事士

IT技術の発展により電気の使用量が年々伸びている中において、そのインフラを支える電気工事士の不足が懸念されています。(経済産業省の調査資料より)家庭用電気機器や配線の修繕、変電所や発電所で使用されている変圧器などの操作から保守・管理まで、電気工事士の仕事は多岐に渡りますが、建築士と同様に今後は新規の建物よりも高度経済成長期に建築された設備や近年建築された大規模建築物の保守・メンテナンスなどがメインになってきます。経験と技術を身に付けて、第一種電気工事士を取得すれば非常に市場価値の高い人材として安定した収入を得ることができるでしょう。

まとめ

いかがでしたか?昨今では一部の大企業を除けば大学卒も専門学校卒も待遇面に差はありません。大切なことは、使命感を持って取り組める仕事を見つけ、継続すること。本記事では専門学校に関する情報が多くなりましたが、実際のところ専門学校を出ていなければ就くことのできない仕事が多くあります。とりあえず大学に進学したけれども、卒業後に専門学校に入り直したという人もたくさんいます。自分の進みたい道を真剣に考えて、夢への第一歩を踏み出してくださいね。

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