高専進学のメリット・デメリットと向いている学生

高専進学のメリット・デメリットと向いている学生

全国ロボコン大や友人から話を聞いたなどで高等専門学校(以下、高専)を知って進学先として検討してみたいと思った中学生およびその保護者向けに、高専進学のメリット・デメリットと向いている学生をまとめてみました。

メリット

就職がいい

高専の就職率が高いのは良く知られています。が、大学生のように就職サイトに登録して自ら応募して内定を勝ち取るという就職活動が一切必要ないことが最大のポイントです。企業側からは学生1人あたり10社以上の求人数が企業から寄せられており、自分の希望を担当教員等に伝えて推薦というかたちで就職が決まります。もちろん、個人的に興味がある会社を自主応募で受けることや、公務員試験を受けることも可能です。早慶以上の大学卒でも狭き門であるインフラ系企業や電鉄等にも枠があるので、就職したい企業や業種・職種が明確な場合は大卒よりも近道と言えるでしょう。

一方で、高専卒は短大卒と同じ準学士のため大卒・大学院卒よりも入社時点での給与や出世で差が出るということも昔はありました。しかし、現在では、例えばトヨタ自動車は豊田工業大学で働きながら大学卒業の学士を取得させてくれるなど、レガシー企業でも待遇面では改善が図られてきていますので安心してください。IT企業や新興企業はこのような待遇の差はほとんど見られません。

教育費の面で親孝行ができる

国公立高専(専攻科2年間を含む7年間)と一般的な高校・大学に進学した場合の学費を大まかに比較したものを分かりやすくグラフ化してみました。なお、大学の学費は一般的な理工系学部の金額で、施設費等は含んでいません。

公立高の学費も安いですが、国立大学よりも1年間で30万円以上も安く設定されていることから、公立高校・国公立大学に進むより7年間で100万円程の差が出ます。高専1年生から専門的な理工系教育も受けながら、この学費は非常にコストパフォーマンスが良いと言えるでしょう。なお、一部の国立高専では全寮制になっている学校もありますので、この場合は年間寮費50~60万円程なので私立高校並みのお金が必要です。

5年間の一貫教育で大学受験がない

高校3年間と短大2年間の合計と同じ5年間の一貫教育なので、大学受験に進路を左右されることなく、大学と同じ専門的な教育と研究に早い段階から取り組むことができます。5年間の修了後にもっと学びたい、専門的に研究したい場合にも、専攻科や大学3年次への編入、更には大学院への進学という道もあります。

大学3年次への編入は国公立

国公立高専から大学3年次への進学先のほとんどが国公立大学です。理由は、豊橋(愛知県)と長岡(新潟県)に設置されている国立技術科学大学が高専生を優先的に受け入れているためです。各高専でそれぞれの学校に10名前後が毎年進学しています。また、都立産業技術高専は都立大学に、大阪府大高専は大阪府立大学に個別の推薦枠を持っています。高専入学時から大学3年次への編入を考えている学生にとっては、厳しい大学受験競争に時間を費やすことなく、学校成績と編入試験の準備だけで国公立大学に進学できるのは賢い選択肢と言えるでしょう。

デメリット

入学後の勉強が大変

一般科目では習熟度を確認テストで計るという高校生と同じような勉強もやりますが、1年次から専門科目では大学授業と同じレポート提出が課されます。最近の私立中高一貫校では大学受験の推薦入試に向けて中学生でもレポートを書く訓練をしていますが、一般的な公立中学ではまだまだこのような学習方法は取り入れられていないのが現状です。そのため、一般的な高校生よりも日々のレポート提出に追われることも多々あることから、試験直前に追い込む勉強に慣れていると苦労する学生が多いようです。

エンジニア適性がないor嫌になったら地獄

あえて書く必要はありませんが、入学後に将来の目標が180度変わってしまった場合は毎日が地獄です。しかも、普段の授業では専門科目や理系科目の割合が多くなるため、高専生は文系科目が弱い傾向にあります。これは、TOEIC®が毎年7月に出している21年版の受検者データ「TOEIC® Program DATA & ANALYSIS」では、高校3年生の平均点443点に対して、高専3年生は平均342点と約100点の差があります。3年修了時点での大学進学に切り替える場合や普通高校への編入などは、早期に決断することをお勧めします。

女子が少ない

情報系では1:1という学校も出てきていますが、学年全体で見ると男女比は良くて8:2となっています。特に機械や電気では女子は、ほぼゼロと考えておいた方が良いです。ただ、最近の若年層は男女の性別を問わず仲が良いというケースが増えているので今時の学生には気にならないのかもしれません。また、女子視点で考えると、高専女子は世の中でも少数派なので、就職時やその後のキャリア形成においても武器になると考えられます。

高専向きの学生

  • ものづくりが好き
  • 毎日コツコツと勉強や作業するのが好き
  • 分からないことは自分で調べたり、周囲に聴くことができる
  • やりたいことが明確にある

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