住みかえや遺産相続などで所有する不動産を売却したいけれど、一向に成約にならないという方に是非読んでもらいたい。
東京郊外でターミナル駅に30分以内で直接アクセスできる住宅街に、最寄り駅から徒歩13分だけれども築10年で広々した4LDKの分譲マンションを購入し、リフォームして12年間住みました。子供の成長に合わせて間取りのリフォームを検討していたところ、滅多に分譲されない駅近エリアの新築一戸建てが出ていたので住みかえを決意。
しかし、そこからが二重ローン地獄の始まりだった。新居は建築前だったので引渡しは半年後。なので、その間に希少価値のある4LDKのマンションなら即売れるものと思っていました。売却の仲介を依頼した大手不動産会社も自信を持ってそう語っていたはずなのに…。
最初の半年間は居住中だし、周辺相場に合わせて価格を若干高めに設定していたからと売れなくても楽観的でしたが、新居に引越して数ヶ月経っても売れる気配はない。泣く泣く値下げしても状況は変わらず。
不動産買取業者に査定依頼したけれども価格の5割〜7割ほどに買い叩かれるだけで成果なし。
不動産会社まかせによる2点の弊害
物件と周辺環境のアピールポイントが伝わらない
どんなに印象がいい営業担当者でも、自分の物件を最優先にお客様に案内してくれることなど滅多にありません。更に、大手不動産仲介になれば転勤も付きものなので、地域の情報に詳しい訳でもないのが実態です。となると、室内をかなり気に入ってもらえた、もしくは、周辺環境を調べ尽した、このどちらかの内覧希望者しか具体的な購入検討に入ってもらえなくなるので、内覧からの成約率が大幅に下がってしまいます。
室内の汚れで印象が悪くなっている場合がある
部屋探しは、分譲住宅でも賃貸でも、玄関ドアを開けるまでは期待でワクワクしますよね。にも関わらず、ドアを開けた瞬間に「却下」と決断した経験は少なからずあるのではないでしょうか?
自分も中古物件をたくさん内覧して部屋探しをしてきましたが、一番のノックアウト条件は「部屋が汚れていること」でした。中古なので内装の経年劣化は承知のうえですが、汚れていると前オーナーの家に対する愛情が感じられないので「見えない部分にかなりの劣化があるのでは?」と疑ってしまい、検討候補に入らない可能性が高まります。
不動産会社は専属専任媒介契約で1社に任せても部屋を掃除してはくれません。つまり、放置しておくと、汚れる一方で内覧時の印象は悪くしかなりません。
ということで、以上の2点に気が付いたのが売却を開始してから10ヶ月後(遅い!!)、二重ローンになってから4ヶ月後、そして改善策を実施して何とか2ヶ月後にようやく売却が完了しました。もっと早くに対策していれば、価格を下げずにもっと高く売れたかもと後悔しています。私と同じ失敗をしないように、この記事を読んでいただいている方も早めに対策してみてください。
改善策をご紹介
1.POPを設置して自ら営業活動
不動産会社の担当者の知識不足や営業力を補うために内覧の都度立ち会うことはできません。
そこでオススメしたいのが、部屋の中に「POP」を設置すること。スーパーや雑貨店、ホームセンターなどで商品の陳列棚に製品の特長や他社よりも優れているポイントなどが簡潔に書かれている販売促進ツールです。
私の場合は、「目に見えない情報」「住んでみないと分からない情報」をパワーポイントでまとめて、それを印刷して置いておきました。
具体的にまとめた情報をご紹介します。
周辺地図
- 最寄り駅までの徒歩ルート、近道
- 夜間帰宅を意識して道路の外灯有無
- 自転車通勤・通学向けに駅の駐輪場情報
- バス停情報(乗車場所、時刻表、行き先、所要時間)
最寄り駅まで10分超のため駅まで遠いことがお断り理由になっていたので、徒歩の安全性と他の手段やバリエーションの豊富さを提案。
近隣の買い物情報
- 最寄りのスーパー(不足分をやむなく買い足す場合やチラシの特売のみで利用など)
- 距離があるけれど品質が良く価格も安いスーパー(週末に大量買い)
- 学校用品(文房具、体操着、上履きなど)の販売店
- ドラッグストア
病院
- 小児科
- 歯医者
- 夜間の救急診療
マンション管理組合
- 輪番制で回ってくる理事の頻度
- 理事の仕事内容
- 修繕積立金の計画(大規模修繕の際の一時金負担有無など)
学区
- 小・中学校(越境入学の可否なども添えて)
- 幼稚園(学区内の小学校で在籍が多い、各園の雰囲気、送迎バス)
ゴミの回収
戸建てと違いゴミステーションにいつでも出せるマンションは大きなメリットです。可燃ゴミ以外にプラごみなどの出し方も特長があれば載せましょう。
駐車場
- 空き情報(平置き、機械式)
- 利便性(機械式のサイズ制限、エントランスへのアクセス)
- 近隣駐車場との相場比較
駐輪場
- 月額利用料
- オートバイの駐車可否
- 盗難情報など
マンション行事
マンションの自治会ごとに様々なイベントが企画・実施されていますが、積極的に参加する方とそうでない方で分かれるため、ボランティアの協力有無等も含めて伝えましょう。
2.2週間に1度程度は室内を掃除
自分自身の実体験として、新居に引越してからの約3ヶ月間ほど売り物件の部屋を掃除せずに放置したことがありました。その間に内覧していただいた方も多くいましたが箸にも棒にも引っかからない有様。気になって部屋を見に行ったところ、部屋の汚れが原因であると直感的に分かりました。
ここでは、内覧したお客様に好印象を与える掃除のポイントをご紹介します。
さらに、空き物件になって数ヶ月に渡って放置されるとより独特な臭いに変化してしまいます。これではせっかく内覧に来ていただいたお客様も、ドアを開けた瞬間から物件への印象が悪くなってしまいます。
未使用のまま放置されたキッチンは悪臭を放つ
換気扇やコンロ、魚焼きグリルなど、普段の生活では使った都度掃除をして臭いが気にならない場所も、わずかに残った油汚れが時間とともに悪臭(古い油の臭い)の原因になります。特に換気扇の整流板などの内部の汚れが悲惨な事態を招くので、しっかりと掃除して臭いの原因を元から除去しましょう。
なお、引越し後は水道を停止してしまっている場合もあるので、雑巾でゴシゴシ洗うような掃除はできません。そこで活躍するのが、100均で揃えられる掃除用品。100円と侮るかなれ、かなり秀逸だった商品をここでご紹介します。
高性能界面活性剤配合 油よごれクリーナー
使用したのは左側の高性能界面活性剤配合「油汚れクリーナー」です。こちらはコンロやキッチン周りの壁の油汚れを一拭きで落とす優れもの。また、換気扇の整流板の表面の油汚れ程度ならば、こちらもあっという間にキレイになります。さすがにオイルパンの部分は1枚ではなかなか掃除できませんが、100均で30枚も入っているので惜しみなく使ってキッチンをピカピカにして臭いを除去しましょう。ちなみに、今回の掃除で使用して以来、この商品を愛用するようになりました。
なお、ホームセンターでは100円以下で同一メーカーの「界面活性剤配合」(高性能ではない)の商品(写真右側)が販売されていますが、左側の「高性能界面活性剤配合」の方が汚れの落ち具合は雲泥の差があります。数円をケチらずに銀色パッケージの「高性能界面活性剤配合」を是非試してみてください。
クモは益虫だけれど印象ダウン
室内には必ずクモが共生しています。巣を作らないハエトリグモなら気にならないにしても、手足が長くクモの巣を張るユウレイグモの場合は見た目だけでなく巣があることで部屋全体が汚れて放置されているという印象になってしまうので見つけたら細目に駆除するようにしましょう。また、内覧で部屋を開けた時などに外から一緒に入ってきた蛾や羽アリといった虫についても、死骸になって転がっていることがあるので要注意です。
フローリングワイパーシート[ドライタイプ]
フローリングのホコリを吸着させてキレイにするならこちら。本家のクイックルなものよりも大判で30枚入りで100円(税抜)なのでコスパも非常に高いです。また、クモの巣も難なく吸着するので、フローリングだけでなく、クローゼット内や押し入れの中でも大活躍します。
ポスト内のチラシも廃棄
分譲マンションではエントランスにポストがありますが、ここも放っておくとポスティング業者が投函していった広告チラシがぎっしりと詰まってしまい、内覧に来られた方に悪い印象を与える原因になります。定期的にチラシを取り除いて常に清潔にしておきましょう。
アロマ効果で第一印象が急上昇
友達や親戚の家に入った瞬間に各家庭の独特な臭いってありますよね。しかしながら、自分がこれから住もうと検討している部屋から生活臭がするのはあまり印象の良いことではありません。キレイに掃除した後でも臭いを完全に除去することはできないので、100均でアロマオイルを購入して玄関とリビングに設置しました。ドアを開けて広がる心地よい香りが、おそらく第一印象アップさせる効果があったものと自分なりに信じています。
⇒ポストに入っているチラシも廃棄
きれいに掃除することで前所有者が大切に使っていたことが伝わり、内覧していただいたお客様への印象も上がります。