知らなきゃマズイ!自転車の罰則対象と改正道路交通法

知らなきゃマズイ!自転車の罰則対象と改正道路交通法

2020年6月30日に改正道路交通法が施行されました。近年問題となった「あおり運転」に対する厳罰化が主な改正内容として取り上げられていますが、実は自転車(軽車両)に関する法令も大幅に改正されています。

以前は飲酒運転や信号無視、遮断踏切への立ち入りなどが危険行為として違反の対象として摘発されていましたが、改正道路交通法では「妨害運転」(いわゆる「あおり運転」)が追加され、合計15項目が危険運転の対象になりました。

この記事では、自転車ユーザーの方に改正道路交通法を広く知っていただくため、新旧を含めた現状における自転車の交通ルールについてご紹介します。

目次

改正道路交通法の処罰内容

以下に挙げる15項目の危険行為を3年間に2回摘発されると、安全講習を受講することが義務付けられました。安全講習を受講しなかった場合は、5万円以下の罰金が課せられます。(対象年齢は14歳以上)

危険運転15項目

  1. 信号無視
  2. 一時停止無視
  3. 遮断踏切への侵入(警報機が鳴り遮断機が下りた後)
  4. 通行禁止区間の通行
  5. 歩道における車両義務違反
  6. 歩道通行時の通行方法違反
  7. 通行区分違反
  8. 路側帯通行時の歩行者の通行妨害
  9. 交差点の安全義務違反
  10. 交差点の優先者妨害
  11. 環状交差点の安全義務違反
  12. ブレーキ不良自転車の運転
  13. 安全運転義務違反(片手運転等)
  14. 酒気帯び運転
  15. 妨害運転(あおり運転等)

次に、道路交通法で定められている違反と罰則内容を紹介していきます。

自転車の通行場所

車道通行の原則

車道を走るのが原則

自転車は、歩道と車道の区別がある道路においては原則として車道を通行しなければなりません。ただし、自転車道があれば自転車道を通行し、著しく歩行者の通行を妨げる場合を除いては路側帯を通行できます。

左側通行

四輪自動車と同じく、道路では左側を通行しなければなりません。また、車両通行帯がない道路では、道路の左端を通行する必要があります。


上記2点については、道路交通法第17条・18条・20条・63条に定められており、違反した場合は以下の罰則が適用されます。

【罰則】3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金


(例外)歩道を通行できる場合

  1. 道路標識で自転車が歩道を通行できると定められている区間
  2. 自転車の運転手が、高齢者や児童・幼児等の場合
  3. 車道または交通状況により、自転車の安全を確保するために歩道を通行することがやむを得ないと認められる場合

上記の場合は、歩道を通行できますが、その場合には歩道中央から車道寄りを徐行しなければなりません。また、歩行者の横を通る時は徐行することとなっていますので、減速せずに横を通り抜けるのは違反対象です。これを違反すると2万円以下の罰金または科料となります。

守らないと罰則がある交通ルール

1.酒気帯び運転等(道路交通法 第65条)

飲酒運転は、改正以前から禁止されています。また、四輪自動車と同じく、自転車でお店に来店した人にお酒を提供したり、逆にお酒を飲んだ人に自転車を提供した場合は提供者側に罰則が科せられますので注意してください。

【罰則】5年以下の懲役または100万円以下の罰金等

2.信号無視(道路交通法 第7条)

自転車も「車両」なので四輪自動車と同じく信号無視には罰則があり、改正前から禁止されています。特に横断歩道を通行する場合や歩行者用信号機に『歩行者・自転車専用』と標識に記載されている場合は、歩行者用信号機に従わなければいけません。

【罰則】3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金等

3.遮断機(踏切)の通過直前の一時停止・安全確認(道路交通法 第33条)

こちらも改正前から禁止されています。踏切が下りる前に何とか通過しようと猛スピードで走り抜ける自転車を見かけることがありますが、実は自動車と同じく一時停止と左右の安全確認が必要です。

【罰則】3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金等

4.片手運転の禁止(道路交通法 第70条・第71条)

2017年12月に神奈川県川崎市でスマホ操作をしながら自転車を運転していた20歳の女子大生が、77歳女性と衝突して死亡させるという事故がありました。この事故の判決で女子大生の重過失致死罪が認められ有罪判決(禁固2年、執行猶予4年)となりました。もちろん、遺族に対する損害賠償額も数千万円になります。

このような事件を背景として、自転車の片手運転は禁止され、携帯電話での通話、スマートフォンの操作、傘を差しながらや荷物を持って片手が塞がっているなどが罰則の対象となります。

【罰則】3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金等

5.夜間のライト点灯等(道路交通法 第52条、第63条)

夜にライトを点灯せずに走ってきた自転車にぶつかりそうになったり、怖い思いをした経験がある方もいらっしゃると思います。自転車も夜間はライトを点灯しなければなりません。また、自動車のテールランプと同様に、反射機材を取り付けていない自転車(尾灯はOK)は夜間運転できないので注意してください。

なお、ライト自体は「点灯」も「点滅」でも各自治体の条例等や各県警のホームページ等で調べたところ、どちらでも問題がないという回答が出されています。

【罰則】5万円以下の罰金等

6.二人乗りの禁止(道路交通法 第55条、第57条)

原則として二人乗りは禁止です。(いわゆる荷台部分に大人が二人乗りするようなものが対象)

6歳未満の幼児を乗せる場合は、道路交通法の第55条・第57条に基づいて都道府県ごとの条例で二人・三人乗りが認められる場合がありますので、お住まいの都道府県の条例を一度ご確認ください。

なお、東京都の条例では次の場合に認められています。

  • 運転者が16歳以上であること
  • 安全基準を満たしたチャイルドシートに6歳未満の幼児を1人乗せる場合

また、ヘルメットの着用については道路交通法 第63条で努力義務になっていますので、安全のためにも着用をお勧めします。

【罰則】5万円以下の罰金等

7.道路の横断方法(道路交通法 第25条、第63条)

自転車横断帯がある場所では、その自転車横断帯に従って道路を横断しなければいけません。また、歩行者や他の車両等の通行を妨害する可能性があるときは横断してはいけません。

【罰則】3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金等

8.右折・左折も原付と同じ(道路交通法 第34条)

自転車は右折・左折を自由気ままに行っている人を見かけますが、原付と同じように以下のように定められているので気を付けましょう。

右折

右折は、交差点前からできる限り道路の左側端に寄り、交差点の側端に沿つて徐行しなければならず、信号機のある交差点では二段階右折をしなければいけません。

左折

左折は、交差点前からできる限り道路の左側端に寄り、交差点の側端に沿つて徐行しなければなりません。

【罰則】2万円以下の罰金または科料

9.進路変更の禁止(道路交通法 第26条)

蛇行運転はもっての外ですが、四輪自動車と同じく後方から進行してくる車両等の速度または方向を急に変更させる危険性がある場合は進路変更を行ってはいけません。後ろから自転車や車が来ていることに気づかずに、急な方向転換をした場合は違反の対象になります。

【罰則】5万円以下の罰金等

10.並進の禁止(道路交通法 第19条、第63条)

道路標識等で認められている場合を除いて、他の自転車と並走して運転してはいけません。

【罰則】2万円以下の罰金または科料

11.道路外に出る場合(道路交通法 第25条)

道路に面したお店に入る場合などで道路外に出るために左折するときは、手前からできる限り道路の左側端に寄って徐行しなければいけません。また、道路を右側に出ようとする場合であっても、道路の中央(一方通行の場合は右側端)を通行してはいけません。

【罰則】3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金等

12.交差点の通行方法(道路交通法 第36条、第63条)

交差点では、付近に自転車横断帯がある場合は当該自転車横断帯を通行しなければいけません。また、信号機がない交差点で狭い道路から広い道路等に出るときは、交差点を通行する他の車両の進行を妨害しないように徐行しなければいけません。また、歩行者に注意して可能な限り安全な速度と方法で進行しなければいけません。

【罰則】3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金等

13.徐行が必要な場所(道路交通法 第42条)

道路標識等で定められている場所や、左右の見通しがきかない交差点を通行する場合は徐行しなければならない。

【罰則】3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金等

14.一時停止が必要な場所(道路交通法 第43条)

道路標識等で定められている場所や、一時停止すべきとされている場所を通行する場合は一時停止しなければなりません。一時停止の標識以外に、道路にペイントで「止まれ」と記されている場所は一時停止が必要です。

【罰則】3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金等

止まれ標識

15.ブレーキの備付(道路交通法 第63条)

前輪・後輪にブレーキを備え付けていない自転車は運転してはいけません。一時問題になりましたが、ペダルを逆回転させてブレーキをかける「ピスト」は公道を運転することができないので注意が必要です。

【罰則】5万円以下の罰金等

16.警音器の使用(道路交通法 第54条)

左右の見通しのきかない交差点や見通しのきかない曲がり角、道路標識等で指定されている場所を通行しようとするときは、警音器を鳴らさなければいけません。ただ、上記以外の場合は、危険防止でやむを得ない場合を除いて、むやみに警音器を鳴らしてはいけません。

【罰則】5万円以下の罰金等

17.児童・幼児のヘルメット着用(道路交通法 第63条)

保護者は、6歳未満の児童・幼児を自転車に乗車させるときはヘルメットをかぶらせるように努力義務があります。

18.交通事故の措置(道路交通法 第72条)

交通事故が発生した場合は、直ちに負傷者を救護して、危険を防止する等必要な措置を講じなければいけません。また、警察に事故の内容を連絡しなくてはいけません。

【罰則】1年以下の懲役または10万円以下の罰金等

道路交通法の改正により、令和2年6月30日から、自転車の危険行為14項目に「あおり運転(他の車両の妨害)」が追加されました。
自転車を運転中に、この危険行為を繰り返した(3年間に2回以上の摘発)場合、自転車運転者講習の受講が義務化されており、受講しないと5万円以下の罰金が定められています。

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