賃貸住宅の火災保険、不動産会社が勧める保険とネット加入はどちらが安い?

賃貸住宅の火災保険、不動産会社が勧める保険とネット加入はどちらが安い?

賃貸住宅の場合、建物は貸主(大家さん)が火災保険に加入していますが、自分の家財や設備を壊してしまった場合の修理費、水漏れで階下の住民に損害を与えてしまった場合の損害賠償などは借主が火災保険(家財)に加入しておかないと補償されません。でも、保険は賃貸で部屋を借りる際に不動産会社から火災保険(家財)を勧められて、他の保険会社と比較せずにそのまま保険に加入してしまったという方は多いのではないでしょうか?

そこで、今回の記事では、一般的な不動産会社で取り扱われている大手損害保険と、ネットで加入できる少額短期保険の火災保険(家財)を比較してみました。

そもそも不動産会社で加入が必須なの?

マンションやアパートを借りる際の賃貸契約には、入居条件に賃貸住宅用火災保険(家財)を加入必須とするケースが多く見受けられます。不動産会社(保険代理店)が代理店契約している保険商品を勧めてきますが、その保険会社に強制加入という訳ではなく、自分で選んだ保険会社で加入しても問題ありません。賃貸借契約で保険加入を強制することは法的に問題はありませんが、保険会社を指定して加入を強制することは独占禁止法に違反する行為とされているので断ることができます。

大手損保とネット加入商品の比較

不動産会社が紹介する商品の保険料は1.5万円~2万円(2年間)が相場で、賃貸契約の契約期間と同じ2年間を一括払するのが一般的です(退去に伴う途中解約の場合は未経過分の保険料が返金されます)。一方でネット加入の場合は月払いやクレジットカード払いも対応していて、引越し費用や日用品購入で出費が増えるタイミングにおいては保険料以外でもお財布に優しいのが特長です。

単身世帯を想定した場合の比較表

保険会社三井住友海上ヤマダ少額短期保険マイシュランスチューリッヒ少額短期保険
商品名リビングFIT賃貸保険ダイレクトスマート賃貸火災保険ミニケア賃貸保険
保険料(2年間分)12,400円9,200円9,120円7,220円
家財保険金額100万円1,000万円★100万円100万円
家財の破損・汚損あり
(上限50万円、自己負担額1万円)
なしなしなし
借家人賠償責任1,000万円1,000万円1,000万円1,000万円
借家修理費用300万円100万円★50万円(自己負担額3,000円)100万円
個人賠償責任3億円1,000万円なし1,000万円
その他補償なし残存物片づけ費用:100万円★なし生活再建費用:10万円
被害事故法律相談費用等:30万円
備考東京都・鉄筋コンクリート造の場合の保険料部屋面積15㎡~30㎡未満の場合の保険料例
※★の補償で合計1,000万円が限度額
水災事故および不測かつ突発的な事故は補償対象外
※少額短期保険は1年ごとに更新が必要になります。
※上記の保険料および補償内容は2022年11月現在の内容です。

損害保険会社と少額短期保険の違い

損害保険会社には、資本金10億円以上、金融庁からの免許制といった規制があることから、商品の金融庁認可を取得できれば保険商品に制限はありません。少額短期保険は、財務局への登録制で商品の自由度も高いことから以下のような制限が設けられています。

  • 保険期間1年間まで(第二分野は2年間)
  • 引受保険金額1,000万円以下
  • セーフティネットの有無(損害保険会社の破綻時は損害保険契約者保護機構が契約者を保護)

比較結果は?

同等レベルの補償内容で比較した場合、単純に保険料だけで比較すると少額短期保険の方が安く、リーズナブルでお得感があります。ですが、大手保険会社の場合は補償範囲が広く、室内での不測の事故で家財が壊れてしまった場合の補償である「家財の破損・汚損等」も付けることが特長といえるでしょう。単身で保険料を安く抑えたい方は少額短期保険、家族も同居していて幅広い補償でカバーしたいという方には大手損害保険会社の商品が適しているのではないでしょうか。

「家財の破損・汚損等」の事故例

  • 室内を掃除中に、誤って椅子を倒して窓ガラスを割ってしまった
  • 模様替えで家具を移動していたら、誤って壁にぶつけてしまい穴が空いてしまった
  • 子供がふざけて遊んでいたら転倒してテレビにぶつかり画面が割れた

ペットが壊した家財も対象?

火災や自然災害、盗難などの突発的に発生した事象が原因となって損害を受けた場合に補償されますが、自分で飼育しているペットが家財を壊した場合は補償の対象になるのでしょうか?例えば、道路で遊んでいた子供が投げたボールが運悪く窓に当たって割れた場合は補償になります。一方で、ペットと部屋の中で遊んでいて家具や家電が破損した場合は、日常生活で起こりえる想定の範囲内の事象のため保険金の支払対象にはなりません。ただし、落雷や他の部屋で火災が発生してペットがパニックになって暴れて壊してしまった場合は、不測の事態が原因となって家財が破損されたため補償の対象となるケースとなる可能性があります。因果関係の証明や保険会社によって支払対象の有無に違いがあるので、もしこのようなケースの場合はまず保険会社に連絡して確認してみることをお勧めします。

まとめ

損害保険会社と少額短期保険の商品比較をしましたが、不動産会社が損害保険会社と共同出資で設立した少額保険会社も今回取り上げた会社以外にもたくさんあります。まずは、不動産会社に勧められた保険商品をしっかり確認して、ネット加入商品と比較してご自身のライフスタイルに適した火災保険を選ぶようにしてください。

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