35年長期契約の火災保険って見直しが必要?

35年長期契約の火災保険って見直しが必要?

持家用の火災保険の見直しポイント

持家用の火災保険については、金融機関で住宅ローンの契約やハウスメーカーとの契約の際に紹介された火災保険をそのまま加入しているという方が多いのではないでしょうか?しかも、およそ10年前までは契約期間が35年間という長期の火災保険を一括払いで契約しているケースが大半なので、時間の経過とともに加入した補償内容を忘れてしまっていることもあるようです。

火災保険というと、自分の家やマンションの専有部分で火災が発生した場合にその損害を補填するという印象が強いですが、近年は毎年のように台風や大雨、地震等による大規模な自然災害に見舞われているため、火災保険の重要性が改めて見直されています。

近年発生した大規模災害

2019年9月台風15号
10月台風19号
2018年6月大阪北部地震
7月西日本を中心とした豪雨被害
(主に広島県、岡山県、愛媛県等)
2017年7月福岡県・大分県を中心とした豪雨被害
2016年4月熊本地震
2014年9月御岳山噴火

35年契約の火災保険の見直しポイント

1.損害の評価基準(時価 or 新価)

まずチェックが必要なのは、支払われる保険金を算出する際に損害額の「評価基準」です。この評価基準には「時価」と「新価(再調達価額)」の2種類の算出方法がありますので、ご自身が加入されている火災保険の保険証券でどちらの算出方法になっているか確認してみてください。

時価

同等の建物・家財を新たに建築・購入するために必要な金額から「経過年数による価値の減少と使用による消耗分(減価償却分)」を差し引いた金額のこと。建物や家財の現在の価値と考えていただければ分かりやすいでしょう。

新価(再調達価額)

同等の建物・家財を新たに建築・購入するために必要な金額。

古い火災保険の場合、上記の算出方法が「時価」になっていることがあります。そのため、実際に損害が発生し、いざ保険金の請求した時に、修理等で原状回復に必要になる保険金が満額入ってこないという事態にならないよう必ずチェックするようにしましょう。

2.保険の種類(住宅火災保険 or 住宅総合保険)

一言で持家用の火災保険といっても保険の種類が住宅火災保険と住宅総合保険に分かれています。違いは、住宅総合保険が全ての補償項目がオールインワンのパッケージになっているのに対して、住宅火災保険は補償項目が選べる(実際には保険会社や保険代理店の提示するプランから選ぶ)仕組みになっています。

ということは、住宅総合保険を契約している場合、例えば水災被害の心配が一切ない地域の戸建てや、近くに河川がないマンション3階以上にお住まいの方も「水災」に対する保険料をムダに払っているということです。火災保険の主な補償項目と保険金支払い事例を表にしたので、補償項目を見直す際の参考にしてください。

補償項目内容保険金支払い事例
火災、破裂・爆発火災およびガス漏れ等を原因とした破裂・爆発による損害に対する補償・火災で自宅が全焼した。
・揚げ物で油に火がついて天井が燃えた。
落雷落雷被害による損害に対する補償・雷が落ちて屋根が壊れた。
・近くの電柱に雷が落ちて家電製品が故障した。
※住居敷地外の落雷による損害も対象になります。
風災・雹(ひょう)災・雪災台風、旋風、竜巻、暴風等の風災、雹(ひょう)災または豪雪、雪崩(なだれ)等の雪災に対する補償・台風で隣家の瓦が飛んできて外壁に穴が空いた。
・台風による強風でカーポートの屋根が飛ばされた。
※マンションの外壁等は共用部分になるため個人の火災保険では対象外。マンション管理組合が加入する火災保険で補償されます。
水災台風、暴風雨、豪雨等による洪水・融雪洪水・高潮・土砂崩れ・落石等の水災(床上浸水等)に対する補償・豪雨により床上浸水になり、壁や床に被害が出た。
・傾斜地だったため、豪雨で土砂崩れが発生し、外壁が破損した。
※河川の氾濫等による浸水以外に土砂崩れや落石、高潮等も対象になります。
物体の落下・飛来等/騒擾(じょう)建物外部からの物体の落下や飛来、衝突、自動車の飛び込み、騒擾に対する補償・交通事故を起こした車が建物に衝突して外壁が破損した。
・近くの公園から石が飛んできて窓ガラスが割れた。
水濡れ給排水設備の破裂・亀裂・折損等や上階の部屋で生じた事故に伴う漏水等に対する補償・お風呂の排水が詰まって漏水してリビングの床が浮いてしまった。
・マンションの上の住戸で起きた漏水により天井にシミができた。
※給排水設備の修理費等は補償の対象外なので、設備のメンテナンスには気を配りましょう。
破損・汚損被害等不測かつ突発的な事故により建物・住居内の家財に損害が発生した場合の補償・掃除中に本棚を倒してしまい壁に穴が空いてしまった。

冒頭に例示した水災以外にも、「破損・汚損被害等」は合計保険料の中で占める割合が大きい補償項目なので『自分で家や家財を不測に破損してしまうことがない』もしくは『自分で不意に壊してしまったものは、自分で修理費用を負担するから保険料を節約したい』という方には不要な補償項目ですね。その他にも、ご自身の住環境に合わせて補償内容を選ぶことをオススメします。

3.支払済みの保険料は戻ってくるの?

保険会社に連絡して、解約手続きが完了すれば未経過部分の保険料が返金されます。自動車保険で別の保険会社に乗り換えができるのと同じように、火災保険についても家の売却などがなくてもいつでも解約することができます。

ちなみに、筆者は35年間・長期一括払いで保険料約27万円の火災保険を、12年間ちょうどで解約しましたが、未経過分として約13万円が戻ってきました。契約時の長期割引率や返戻率が保険会社によって異なるので、返戻金と乗り換え後の保険料を比較検討して見直しましょう。

4.地震保険の違いは?

地震保険は、どこの保険会社経由で契約しても保険料に違いはありません。

地震保険は、関東大震災のような大規模な災害が発生した場合、民間の保険会社の体力だけではその損害をカバーしきれないので自動車やバイク等の自賠責保険と同じく国が運営しています。また、地震保険だけを加入することはできないので、火災保険とセットでしか申込みはできません。

築35年・戸建ての保険料を比較してみる

35年間の長期の火災保険を契約している方向けに、主にネットから申し込みができる損害保険各社の保険料を比較してみました。

ジェイアイ傷害火災保険(iehoいえほ)は、築古の場合は基本補償となる「火災、破裂・爆発」しか加入できませんが、年間の保険料をグッと抑えたい方には最適。補償を充実させたいならソニー損保(新・火災保険)が割安になりそうですね。

保険会社
(商品名)

補償項目
ジェイアイ
傷害火災
(iehoいえほ)
ソニー損保
(新火災保険)
セコム損保
(安心マイホーム)
損保
ジャパン
(THE すまいの保険)
火災、破裂・爆発
落雷
風災、雹(ひょう)災・雪災
水災
自己負担額10万円10万円10万円10万円
その他・損害防止費用
・失火見舞費
・残存物片づけ費用
・残存物片づけ費用
・地震火災費用
・損害防止費用
・水道管修理費用
・残存物片づけ費用
・損害範囲確定費用
・仮修理費用
保険料(1年間一括払い)1,850円8,297円11,480円29,520円
※上表は、東京都・築35年・木造戸建て・建物のみ・保険金額1,500万円・地震保険付帯なしにおける2020年5月時点での保険料比較(いずれも保険金は新価払い)

まとめ


いかがでしたか?

火災保険は、「築古になると経年劣化でリスクが高まるから保険料も高くなる」というイメージがありそうですが、調べてみると保険会社によって何倍も保険料に差があることが分かりました。保険は、同じ補償内容であれば、支払われる保険金も同じ、知らないうちに無駄な保険料を払わないよう、この機会にぜひ火災保険を見直ししましょう!

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