週5でマラソン・トレイルランニングの練習をしています。以前は、大会前の調整やレース中の栄養補給法だけしか気にしてこなかったけれども、さすがに40歳を超えて疲労回復も時間がかかるようになってきて、普段の食事も多少なりとも気をつけないといけないなと感じる今日この頃。
疲労回復に良いとされる栄養素や食材を調べてたくさん情報は出てきたのですが、自分自身の状態に置き換えると何をどのタイミングで補給すればいいのかさっぱり理解できませんでした。
そこで、今回の記事では、日々の練習で蓄積されているであろう「活性酸素」を除去する食材をご紹介します。
活性酸素とは?
ヒトが生きていく上で酸素が必要なのはいうまでもない。ヒトは呼吸によって酸素を取り込み、主にミトコンドリアに存在する電子伝達系により ATP を産生し、生命活動に必要なエネルギーを得ている。この過程で酸素は 4 電子還元され水となるのであるが(O2+4H++4e-→2H2O)、必ずしも酸素分子に電子がきっちり 4 つ渡されるとは限らない。このように酸素分子に不完全に電子が渡された状態。つまり酸素分子が部分的に還元されたものが活性酸素(Reactive Oxygen Species;ROS)である。(中略)これらが生体内で発生すると、脂質、タンパク質、核酸などの生体成分を攻撃する。
日医大医会誌 2013; 9(3)活性酸素と抗酸化物質の化学|中村 成夫(日本医科大学基礎科学化学)
簡単にまとめると、酸素からエネルギーを生成する時の余りものが活性酸素です。これが、脂質やタンパク質などを攻撃すると「過酸化脂質」が作られ、老化や生活習慣病の原因になります。
活性酸素を除去する3つの栄養素
栄養素 | 1日あたりの目安量 | 働き |
---|---|---|
ビタミンA (β-カロテン) | 男性:600~650μg 女性:450~500μg ※1 | β-カロテンは活性酸素の発生を抑え、体内から取り除く働きをしてくれます。 |
ビタミンC | 80~85mg | 活性酸素の発生を抑制する働きをします。 |
ビタミンE (α-トコフェロール) | 男性:6.0~7.0mg 女性:5.0~6.5mg | 細胞内に過酸化脂質が作られるの抑える働きをします。 |
※一日あたりの目安量の出典元:厚生労働省「食事摂取量基準」
β-カロテンは、活性酸素を捕まえると、ビタミンEに渡します。EはビタミンCに、Cはグルタチオンに渡します。グルタチオンは肝臓でたくさん作られるので、そこで活性酸素の中和は完了します。また、ビタミンEやCは単独でも活性酸素を中和します。ということで、これら3栄養素をバランス良く摂取することで活性酸素を体内から取り除きましょう。
次に、こららが多く含まれる食物をそれぞれご紹介します。
β-カロテンを多く含む食物ランキング
順位 | 食品名 | β-カロテン(100gあたり) |
---|---|---|
1位 | 干し海苔 | 38,000μg |
2位 | パセリ(乾燥) | 28,000μg |
3位 | 焼き海苔 | 25,000μg |
4位 | 岩海苔 | 25,000μg |
5位 | 青のり | 20,000μg |
6位 | 唐辛子 | 14,000μg |
7位 | にんじん | 11,000μg |
8位 | しそ | 11,000μg |
9位 | ケール | 10,000μg |
10位 | モロヘイヤ | 10,000μg |
11位 | ほうれんそう | 8,600μg |
12位 | ワカメ | 8,400μg |
β-カロテンは、一般的に言われている「緑黄色野菜」に多く含まれます。その理由は、葉緑体(プラスチド)内でカロテノイドを生合成(生体分子を自ら作り出すこと)ができるためです。なので、海苔やワカメといった海藻類、パセリ、ケール、ほうれんそうなどの緑色の野菜に多く含まれています。
ビタミンCを多く含む食物ランキング
順位 | 食品名 | ビタミンC(100gあたり) |
---|---|---|
1位 | アセロラ | 1,700mg |
2位 | ケール | 1,100mg |
3位 | パセリ(乾燥) | 820mg |
4位 | 煎茶 | 260mg |
5位 | グァバ | 220mg |
6位 | 焼き海苔 | 210mg |
7位 | 赤ピーマン | 180mg |
8位 | オレンジピーマン | 170mg |
9位 | 黄ピーマン | 160mg |
9位 | 芽キャベツ | 160mg |
9位 | 干し海苔 | 160mg |
9位 | ゆず | 160mg |
10位 | ブロッコリー | 150mg |
11位 | キウイフルーツ | 140mg |
1位のアセロラは、一般的にスーパー等で売られているのはあまり目にすることがないので、ジュース等で摂取することになると思います。「一日分のビタミンCが摂取できます!」といったキャッチフレーズを鵜呑みにせずに、果汁が何%入っているかを確認して選びましょう。
それと、青汁の原材料になっているケールは、β-カロテンとビタミンCの両方を豊富に含んでいるのでとても機能的な食品ですね。
α-トコフェロールを多く含む食物ランキング
順位 | 食品名 | α-トコフェロール(100gあたり) |
---|---|---|
1位 | 煎茶 | 64.9mg |
2位 | ひまわり油 | 38.7mg |
3位 | アーモンド | 30.3mg |
4位 | 唐辛子 | 29.8mg |
5位 | 綿実油 | 28.3mg |
6位 | 小麦胚芽 | 28.3mg |
7位 | 抹茶 | 28.1mg |
8位 | ぶどう油 | 27.5mg |
9位 | サンフラワー油 | 27.1mg |
10位 | 米ぬか油 | 25.5mg |
11位 | 干し菊 | 25.0mg |
12位 | 鮎 | 23.5mg |
13位 | 大豆 | 18.5mg |
14位 | ドライトマト | 18.4mg |
15位 | ヘーゼルナッツ | 17.8mg |
α-トコフェロールはビタミンE(脂溶性ビタミン)の一種で、光合成により作られるため、煎茶が第1位になっていますが植物油関連の食品が多くランクインしています。
まとめ
いかがでしたか?調べてみて驚いたのは、意外なことに和食を食べているとこれらの栄養素を万遍なく摂取することができるということ。また、含有量は全て100gあたりなので、例えば海苔を100g食べるとなると「焼き海苔を何枚食べればいいのか…」とかなり途方に暮れる数字になってしまいます。含有量が多いからといって偏った摂取を避けて、バランスの良い食事を心がけてくださいね。