「長距離は筋肉が付くと体重が重くなってタイムが遅くなる」なんて都市伝説のような理由から、陸上部時代は長距離選手が筋力トレーニングをしている光景を見かけることはありませんでした。(約30年前の話ですが、、、)そして、今でも市民マラソンのランナーの間では「1kg痩せれば3分速くなる」と言われ続けているので、筋トレする市民ランナーはあまりいないのではないでしょうか?
そんな中、新型コロナウイルス蔓延の影響でほとんどの大会が中止になり、仕事も在宅ワークが多くなり、走力が落ちたと感じるランナーの方も多いと思います。私自身も走行距離が少なくなったことと、家での在宅ワークが増えたことで気が付いたら上半身の筋力が大幅に落ちていました。なぜ筋力不足に気付いたかというと、2年ぶりにトレイルを走った際に岩場で握力と広背筋の衰えを直に突き付けられたからです。また、同時に慢性的な右膝痛と自然と猫背になってしまうことにも悩まされていました。もしかしたら、これらは全て筋力低下が原因なのかもしれないと思い、上半身を鍛えてみることにしました。
世界のトップ選手も筋トレしてる
昔は短距離を専門にしていて、ベンチプレスも100kg以上持ち上げていたので、筋トレ自体には抵抗はありませんでした。ただ、本当に必要なのかという点については調査してから実践してみようと思いネットで調べていたところ、以下のブログ記事で世界トップ選手や大迫選手、東海大学、東洋大学などは積極的に取り入れていることを知り練習に筋トレを取り入れることを決めました。
https://runnerspulse.jp/column-sato180602
とはいえ、フリーウエイト器具を置くスペースは家にはない、ジムに通うほどでもないので、ランニング途中の公園にある懸垂器具で鍛えることにしました。
懸垂で鍛えられる筋肉
- 広背筋
- 上腕二頭筋
- 僧帽筋
- 腹筋
懸垂は複数の筋肉を使うことから、上半身を万遍なく鍛えて筋力アップを見込めます。同時に複数の筋肉を鍛えられるということなので筋トレ効果も短期間で現れます。また、懸垂にも順手(手のひらを身体の向きと同じ方向で握る)で行うプルアップ、逆手(順手と逆)で握るチンアップ、鉄棒競技の吊り輪のように足を前に出すL字懸垂など、様々なやり方があります。筋力が付いてきたらやり方を変えてみると、可動域が広がって更に効果が出ると思います。(くれぐれもケガには注意してください)
懸垂の効果
1.正しいフォームの維持
広背筋と腹筋が鍛えられたことで、背中がピンと張っている状態を維持できるようになりました。身体に疲労が蓄積されてくると、どうしても上半身が前のめりな姿勢になっていたことも改善され、足の着地もブレることがなくなりました。
2.スピード練習での持続力
800m~1000mのインターバル走では筋力不測の場合、最後までスピードを維持するのが難しくなります。疲労が溜まってくると腕振りが小さくなり、歩幅も短くなるので次第にスピードが落ちてしまいますが、上腕二頭筋の筋力がアップしたことで終盤も力強くしっかりと腕振りができるようになります。そのため、インターバルを重ねる度にタイムが落ちることなく、最後までタイムを揃えられるようになります。
3.登り坂でも早く走れる
姿勢と腕振りが改善されたので自然と足上げ動作も軽くなります。特に効果を感じられるのは、ロードの急な登り坂やトレイルの登りです。登りで歩いてしまうと心拍数の上下の幅が大きくなるので疲労が蓄積しやすくなりますが、心拍数を一定に保てるようになるので長い距離を走ってもペースを維持して楽に走れるようになります。
肩甲骨周辺の筋肉(広背筋、僧帽筋、三角筋)が鍛えられることで可動域が向上し、それによって走っている間も上半身が安定、足の回転と腕振りが連動します。また、上半身と下半身の連動性も高まるので前に進む推進力も効率的に得ることができるようになり、疲労も蓄積しづらくなります。
ランニング以外の効果
- 肩こりの改善
- 腰痛の改善
- 猫背の改善
- 基礎代謝のアップ
広背筋が強くなると背筋が伸びて自然と猫背が改善します。また、僧帽筋が鍛えられて血流が良くなることで肩こりも改善されます。
まとめ
個人的な見解ですが、始めて数週間で効果を実感できました。懸垂を最初にやる時は自分の体重を持ち上げるのも一苦労。あまりの筋力のなさに絶望感を味わうことになりますが、始めは反動を付けながら数回でも上げられるようになり、徐々に筋肉に信号が届くようになると慣れて持ち上がるようになってきます。まずは、ケガしない程度から始めて上半身の筋力アップを試してみてください。