トレイルランを始めるランナーを大きく2つに分けると、フルマラソンなどのロードレースから移行するランナー、登山やワンダーフォーゲルの経験者の2パターンがあると思います。このうち、ロードレースから移行してくると、トレイルランに求められるペース配分、ランニングフォーム、天候対策、栄養補給やこれらをその日の体調やコースに合わせてマネジメントする能力に苦しめられるのではないでしょうか?
筆者自身もフルマラソンではサブ3のタイムを持っていたので40kmトレイルも同じように走れるものと考えていたけれども、ハンガーノックや熱中症などに苦しめられ、3大会目でようやく完走できました。しかも、制限時間30分前のギリギリという惨憺たる成績でした。それでも、その時の達成感は今でも忘れられない経験になっています。
このような経験から、トレイルランを始めてみようというランナー向けにエンデュアランス系の練習メニューの必要性をお伝えします。
トレイルランの練習で加えるべきメニュー
通常のロードトレーニングに加えて、トレイルレースを完走するために加えたい練習メニューをご紹介します。
インターバル練習
トレイルランニングはアップダウンが続く山道を走るため、登りの時には心拍数が上がり、下る時は平常時と心拍数が平常に戻ります。これを繰り返すことでロードで一定ペースで走っている時よりも疲労が蓄積されます。これに耐えるだけの心肺機能と筋持久力を鍛えるには、心拍数の上げ下げを伴うインターバル走が最適です。
エンデュアランス系
「エンデュアランス」の名の通り「耐える」メニューです。LSDのように長い距離を走るものではなく、高い心拍数を維持する練習のこと。長い階段や坂道をひたすら駆け上がるトレーニングがこれにあたります。トレイルレースでは、走力だけでなく精神的な強さも求められるため、精神力を鍛えるには持ってこいのメニューです。
実践トレーニング(登山)
登山道の不整地に慣れることが目的です。特に下りについては、足の運び方や岩の蹴り方など、登山道でしか習得できないテクニックを身体に覚えさせるためにも実践トレーニングはとても有効的です。また、住宅街を走っているよりも空気が綺麗で、リラックス効果もあるので、月に1~2回の頻度で加えておくことをオススメします。
なぜエンデュアランス系の練習が必要なのか?
上でも書きましたが、エンデュアランス系の練習メニューの目的は「持久力」と「精神面」を鍛えることです。これらに加えて、日々の練習メニューの中に取り入れるもう一つの理由は、「ポジティブ思考」のきっかけになるということ。
フルマラソンの練習で、スピード練習やペース走をやっていても、毎回タイムが上がるわけでもなければ、設定ペース通りに走れる訳ではありません。
陸上競技経験者やランニングを普段の運動に取り入れている人は、コツコツと努力する真面目な性格の方が多いので、タイムが思うように伸びない場合やペース走で一定ペースが保てないと、その日の練習を振り返って自分自身を責めてしまう傾向があります。本来なら上手くいかない時もポジティブに考えて次の練習に臨めばいいのですが、どうしても悶々としてしまいますよね。
そこで、活躍してくれるのが「エンデュアランス系」メニューです。
著者の場合は、近所にある250段の急な階段を利用して、階段を往復する練習メニューを週1日組み込んでいます。最初は5往復とか10往復といった無理のない回数から始めて、毎週1往復ずつ回数を増やす工夫をしています。
ポイントは、評価軸の違い
タイム計測を行う場合は、必ず設定タイムを設けますよね。そして、それを目指して集中してメニューをこなて、目標を達成すれば合格、未達だったら反省するといった流れになると思います。つまり、結果が白黒はっきり分かれます。
しかしながら、前述のエンデュアランス系の階段トレーニングの場合、どんなに辛くても最後までやり切れば必ず達成します。
タイム計測する場合は、どんなに頑張ってもタイムが更新できなければ「今日の練習はダメだった。これを改善するためには…」とマイナスからプラスにする思考になりますが、耐えて最後までこなせば達成なら終わった後にはプラス思考しか残りません。しかも、毎週本数を1往復ずつ増やすという工夫をすることで、やり切れば「先週の自分よりも強くなった!成長した!」と実感できるはず。このプラスの感情が走ることへのモチベーションの源泉となって、次のスピード練習の時にも「あの練習をやり切ったから目標が達成できそうだ」、ペース走で辛くなっても「エンデュアランスでやり切ったからまだ行ける」といった自信につながります。
オススメのエンデュアランス系メニュー
坂道ダッシュ 200~300m × 5~10本 |
インターバル走 1,000m × 3~5本 |
水泳 インターバル 200m × 5~10本 |
いきなり水泳も入れてしまいましたが、筋肉への重力負荷を減らして疲労回復させることや、心肺機能のトレーニングとしてのバリエーションとして、別種目を入れることも効果があります。
もし共感いただけたら、日々の練習メニューに自分なりの「エンデュアランス系」の練習メニューを組み込んで試してみてください。