現代文はセンスじゃない!?得意科目にする勉強方法

現代文はセンスじゃない!?得意科目にする勉強方法

法学部、経済学部、文学部など文系学部の受験では国語が必須になっている大学が少なくないですよね。その中でも、重要なのが「現代文」です。けれども、「高得点を取れるのはセンスでしょ」、「他の科目はできるのに国語だけがどうしても苦手」という漠然とした苦手意識の声をよく耳にすることがあります。

筆者自身も中学に入ってから勉強を真面目に取り組むようになり、他の教科は暗記で得点できるのに、国語の文章題だけは一筋縄には行かずに悩みました。なので、国語の文章題はセンスだと思って諦めていました。千本ノックのように現代文の問題をひたすら解いているとき、「英語の長文が解けて、日本語だと解けないのは不可解だ」と頭をよぎったことがきっかけで日本語も英語と同じように小学校の文法からやり直そうと決意。それからは、国語の成績も安定するようになり、現代文も英語と同様に『語彙力×文章理解力』であるという結論に至りました。

この記事では、筆者の経験から導き出した現代文を得意科目にする方法をご紹介します。

現代文を得意にするメリット

1.現代文が得意な受験生は少ない

英語や数学などの国語教科以外の配点割合が高い学校の場合、配点が高い教科を得意とする受験生がほとんどを占めてていると考えてもいいでしょう。中学・高校・大学の全ての受験に言えることですが、全教科を得意としている受験生は国立上位校を受験します。私立のように受験科目が絞られている場合は、得意教科にばらつきがある生徒が多く受験する傾向が顕著に現れます。ということは、配点の大きな教科では受験生全員が得意な教科なので点差が付かず、実質的には配点比率の低い教科の得点で合否が分かれていると言えるでしょう。

2.忘却曲線と戦わなくてOK

地理歴史の試験では、「覚えたのに頭の中の引出しを引けない」「全く覚えていない分野が出題された」といった経験はありませんか?現代文の場合、このような事態が発生するのは漢字などの語彙力を問われる問題だけ、しかも配点が大きくないのでダメージも少ないですよね。また、文章題においては、数学の計算問題と同じように鍛錬すればするだけ解答力が身に付くのが特長です。また、文章の読解力が身に付くことで、他の教科に取り組んだ時の理解力も上がるので全体的な成績向上につながります。

現代文の苦手意識の理由

少なからずこの記事を読んでいただいているということは、現代文が苦手な方やお子様の得点を上げるヒントを探している親御様と推察して書きます。漠然と生まれる苦手意識の理由は、「勉強方法が分からない」ということです。

例えば、地理・歴史なら日本と世界の関係を意識しながら時系列で覚える、時代背景から考察するなど、勉強方法を教えてもらわなくても知識と記憶力で一定レベルまでテストの点数を上げることができます。ところが、現代文は日常的に使用している日本語であり、学校教育においても教科書の文章をクラスで考えた後で教師が解説するという流れのため、入試問題に直結する暗記分野は漢字やことわざ、慣用句を覚えること以外にありません。このことが漠然とした苦手意識を生み出す原因になっており、言い換えるとバイアスが掛かっているだけなので現代文は誰でも得意科目に変えられるということでもあります。

本をたくさん読みなさいは半分正解

現代文の成績を上げるために「本をたくさん読みなさい」と親や先生からよく言われますよね。けれども、読書量が増えても現代文の成績は上がりません。まずは、読書方法には「多読」と「精読」の2つの方法があることを知っておきましょう。

多読

多読とは、文字通り大量の本を読み、文章の詳細を分析せずに、文章全体から筆者の大意を理解する読書法です。知識のインプット量を増やすことが目的なので、幅広いジャンルの本を読むことで物事を多角的に見る力を付けることができます。単純に量を増やしただけでは、自分が読みやすい文章・ジャンルに偏ってしまいがちになるので注意が必要です。これは、中学受験・高校受験で物語文は得意だけれど、論説文が読めずに点数が取れないという事象からも良く見受けられます。

大学受験では、現代文で出題される文章のほとんどは論説文です。論説文のテーマやそのキーワード・専門用語などを多読で身に付けるには、普段から新聞を読むようにしましょう。新聞の場合、全ての記事を読む必要はありません。見出しや記事内のキーワードに目を留めるだけでもインプットされる(気になったらネット検索してみる)ので、入学試験で初見の受験生よりも有利になります。

多読で何を読めばいい?

結論から先に述べると、志望学部の入試問題をたくさん解くことが一番の近道です。大学受験で出題される論説文は、各学部の教授らが「自分たちの学部に入学する学生にはこれくらいの文章は正確に読んで欲しい」という思いで検討して選定されます。しかも、一般的な書店で販売されている書籍ではないことも多いため、自分で探しても的外れなものをたくさん読むことになりかねません。10年前の過去問では時代背景も変化しているので、直近5年間で出題された問題を中心に、同じ学部なら学校を問わずたくさんの問題文を読むことで、その学部に必要とされる知識の幅が広がります。

精読

「精読」とは、文章を細かい部分までじっくり読むこと。英語の文章を読んでいる時を思い浮かべてみてください。おそらく、「主語」「動詞」「目的語」「補語」を追いながら、一文一文を正確に理解しようと読んでいるはずです。英語では精読をしていますが、日本語は物心ついたころから読み書きしてきているので日本語で精読した経験がある受験生は実は少ないのかもしれません。

「精読」で読解力を鍛える

現代文では、1.書かれている内容をそのまま理解する、2.話の論理展開を把握する、この2点だけできていれば確実に点数を取ることができます。

現代文が苦手という大半の学生は、話の大筋を理解できているけれども、自分なりの解釈が加わってしまい、選択問題で回答を絞り切れずに不正解になるという結果を招いています。また、このような学生は、設問もしっかりと読めておらずケアレスミスのような不正解をするケースも多く見られます。この場合は、テストの見直しをした場合も「単なるケアレスミスだった」と軽く流してしまいますが、根本的な部分が改選されない限りは直りません。ただ、前向きに考えれば、精読する筋肉を鍛えれば得点が伸ばせるということです。

精読する筋肉を鍛える方法

1.「主語・主部」「述語・術部」「修飾語・修飾部」に分解しながら読む

各単語・部分ごとに鉛筆で区切り、文末まで行ったら主語・述語だけで読む。面倒ですが、この作業を文章を読みながら反復練習します。初めのうちは英語の長文を読むときと同じように読書スピードが遅くなりますが、速度については気にしなくても大丈夫です。この鍛錬を繰り返すことで、1文章ごとに主語・述語の「●●は、■■だ」という呼応がシンプルな形で見えるようになり、修飾語・修飾部のかかっている場所も分かりやすくなるので文章の内容をより正確に把握できるようになります。

大学受験で出題される論説文には高校卒業レベルでは若干難しい専門用語なども多く含まれているため、語句が分からないことばかりに意識が飛んでしまい、内容を把握できないという事態を招くことがあります。主語・述語の呼応を意識していれば、最低限の文章の流れを理解できるようになるので、是非試してみてください。

2.接続語をマークする

問題文を読むときに、段落の前後の関係が示されていたり、話題が次の展開に移ることをみつけることに役立つのが接続語です。いわば、文章の関節とも言えます。筆者は、接続語を意識的に使い全体を筋道を立てて書いているので、接続語に丸を付けて次の展開を予想してから読むことを意識すると、文章を論理的にとらえられるようになりますよ。

最後に、接続語の意味を一覧表にまとめておくので参考にしてください。

接続語一覧
種類意味接続語
順接前の文章に対する結論・理由になることを示す。だから、そのため、そこで、従って、故に、それでは、すると
逆説前の文章とは逆の事象を示す。しかし、けれども、ところが、にもかからわず、でも、とは言うものの
並列前の事柄と同列で並べて示す。また、および、かつ、ならびに、同じく
列挙前の事柄に対して続くものを示す。第一に、第二に、第三に
1点目は、2点目は、3点目は、
最初に、次に、最後に
添加前の事柄に対して後から付け加える。そして、それに、ともあれ、それから、しかも、加えて、そればかりか
対比前の事柄と比較する。一方、逆に、反面、他方で
選択前の事柄と後の事柄を選択する。または、あるいは、もしくは
説明前の事象に対する説明を示す。というのは、なぜかというと
要点前の事象の要点を示す。そのためには、それには
補足前の事象の補足を示す。なお、ただし、ちなみに、そもそも、実は
言換え前の事象を言換える。つまり、すなわち、要するに
例示前の事象の例を示す。例えば、いわば
注目前の事象の中の一部を注目させる。特に、とりわけ、なかでも
転換前の文章から話題を変える。さて、ところで、では
結論前の事象の結論を示す。このように、以上で
対立対立する事象を示す。確かに、しかし

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