夏から秋にかけては日本は台風シーズンになります。
近年は、昔とは比較にならないほどの強い勢力の台風が上陸することが多くなったことから、台風被害に対して自宅や家財をどのようにして守るのか気になっている方も多いのではないでしょうか?
今回の記事では、自宅にかけた火災保険で台風被害に対して補償されるのかを詳しくご説明します。
自分の家は自分で守らなければならない
自然災害による直接的な被害はもちろん火災保険の補償でカバーされるので、「自分の家は自分で守らなければならない」なんて当たり前でしょと思われる方もいらっしゃるはず。
ところが、隣近所の家の瓦が飛んできて自宅の屋根や壁が壊れた場合も相手方に故意や過失によって生じたものではないので原則として損害額を補償してもらうことはできません。
ただし、老朽化したまま放置されていたことが明らかな場合など加害者側に瑕疵があれば損害賠償請求を行うことが可能です。ですが、このことを立証するのは非常に難しいことに加えて、ご近所付き合いもあり揉め事はできる限り避けたいと考えれば、自分の火災保険を利用して修理するのが得策です。
ちなみに、火災保険は、自動車保険のように保険金請求したからといって等級が下がって翌年から保険料が上がるということはありませんので、躊躇せずにすぐに保険会社に相談しましょう。
台風被害に対する火災保険の補償項目
補償項目 | 補償内容 |
---|---|
風災 | 台風、竜巻、暴風による物体の落下等の損害が補償されます。 |
水災 | 台風や豪雨等による洪水・融雪洪水・高潮・土砂崩れ・落石等の損害に対する補償。 |
落雷 | 落雷による建物火災や屋根の破損、家電品の故障等に対する補償。 |
個人賠償責任 | 台風等で自宅が破損し、他人への損害賠償責任が生じた場合の補償。 |
以上の4つの補償が台風からあなたや家族を守ってくれます。
次に具体的に各補償項目を解説していきます。
風災
風災の補償は、台風だけでなく、春一番などの突風や竜巻などの強風によって建物に被害を受けた場合に補償されます。強風によって屋根のパネルが剥がれたなどの直接的な被害だけでなく、敷地外から飛んできた落下物による被害についても保険金の支払対象になります。
なお、「雨漏り」については、落下物による屋根の破損が原因であることが明確であれば補償されますが、経年劣化によるものは補償対象外になりますのでご注意ください。
水災
台風の影響により短時間に大量の雨が降ったために河川の氾濫や洪水によって自宅が浸水した場合に補償されます。また、土砂崩れによる被害もこの補償でカバーされるため、ハザードマップを確認して土砂崩れの危険性が高い地域が近くにある場合は、高台に住んでいても加入しておくことをオススメします。
水災で保険金が支払われる要件
- 建物の居住部分が地盤面から45cm超の浸水による損害を受けた場合、もしくは、床上浸水になった場合
- 水災によって建物の協定再調達価額の30%以上の被害額になった場合
水災で保険金請求を補償されるためには上記2点の要件を満たす必要があり、損害保険会社の調査員が現地で調査を行ったうえで支払可否について判断が行われます。
なお、台風により広範囲の地域で被害が発生した場合には、調査実施までに時間を要することがありますので、被害が発生したら早めに保険会社に連絡しましょう。
落雷
落雷によって屋根や外壁が破損した場合や近くに落雷したことで家電品がショートして故障した場合の損害が補償されます。
一般的な住宅地の戸建てに雷が直接落ちることはほぼなく、マンションの場合にも地面に電流を逃がすように建築されているため、直接的に建物に被害を受ける可能性は低いですが、近隣に雷が落ちて過電流により家財(家電品等)も被害が出ることが多いです。
個人賠償責任
自身が賠償責任を負った場合に補償されますが、実は台風の際にも非常に重要な補償項目です。
例えば、所有する建物の瓦が台風の強風で飛ばされ、偶然に道を歩いていた人に当たって死亡させてしまった場合、民法第717条「工作物責任」を負うこととなり、遺族から多額の損害賠償金額を請求されるおそれがあります。
なお、最高裁判決(福岡高裁昭和55年(ネ)第155号)においても、建物所有者の瑕疵による損害賠償責任を認める判決が出されているため、近隣の方へも被害が及ばないように日ごろから建物をチェックして注意しておく必要があります。
最後に、カーポートや外構などの付属建物についても、一般的な火災保険の場合は補償対象に含まれますが、念のため保険約款や重要事項説明書でこの点も確認しておくと良いでしょう。