新築でも油断禁物!キッチンで起きる火災の原因

新築でも油断禁物!キッチンで起きる火災の原因

最近のガスコンロはセンサーが異常を検知して自動で消火するなど、そもそも火事が発生しづらい設備に進化しています。それでも火事や小火が発生するのは何故なのでしょうか?

「古い設備でコンロにセンサーが付いていなかったんじゃない?」

「ウチはオール電化でIHだから関係ない」

なんて油断していませんか?

そこで、今回の記事では、キッチンでの火災の原因についてご紹介します。

住宅火災の原因ランキング

消防庁の調査(平成30年度)によると、コンロによる火災件数は下表の通り2,852件で全体の7.5%を占めており、ガスコンロによるものその内の2,470件で最も多くなっています。

火災の出火原因件数
たばこ3,414件
たき火3,095件
コンロ2,852件
放火2,784件
放火疑い1,977件
出典:消防庁「消防白書」

更に、コンロによる出火原因を詳しく見てみると、料理を火にかけたまま放置してしまったことによるものが半数以上を占めるという結果となっています。調理中に仕事の電話がかかってきたり、宅配便の受け取りやスマホゲームについ夢中になってしまったなど、うっかり火にかけていたことを忘れてしまうのも納得できますよね。

コンロの出火原因件数
放置する、忘れる1,332件
引火・ふく射284件
可燃物の接触・落下268件
その他910件
出典:消防庁「消防白書」

キッチン周辺にはキッチンペーパーやラップ類、食品トレーなど、燃えやすいものがそもそも多いことや、洋服のフリルや袖などに引火することもあるので、コンロ周りの整理整頓と服装にも気を付けましょう。

なぜ火にかけた鍋から出火するのか?

天ぷら火災

天ぷら火災

料理中に一番目を離してはいけないのは、「天ぷら鍋」を火にかけている時です。みそ汁やスープ、カレーなどの水分が多い鍋料理は少し離れても鍋が焦げる程度で済みますが、天ぷらの場合は燃えやすい大量の油を火にかけるため圧倒的に危険度が増します。市販の天ぷら油(菜種油、コーン油など)は、温度が370度以上になると油自体が自然発火します。IHのように火を使っていなくても熱により発火します。

例えば、かき揚げに適した180度程度に温度を上昇させるには5~6分程度になるので、単純計算で油に火をかけたまま10分ほど放置すると370度に達して発火する可能性があります。

それなら、最新のガスコンロやIHなら200度~250度でセンサーにより自動で消火されるから大丈夫なんて考えてはいけません。一度使用した油の場合、前回の揚げ物のカスが火種になってしまうため370度まで加熱されなくても200度ほどで発火するおそれがあるので、センサーやIHだから安心という訳ではありません。

消火方法

消火器

もしも火災が発生してしまったら安全・確実に消化するならやはり消火器を使用すること。けれども、消火器まみれになったキッチン全体と食器類を全て綺麗に洗って掃除するという代償が伴います。

濡れタオル

消火器や消火スプレー等がない場合に横浜市消防局が勧めているのが、濡れタオルで鍋を塞いで空気を遮断して消火(窒息消火)する方法です。

1.タオルを濡らし絞る

天ぷら鍋を完全に覆えるだけのタオル(フェイスタオル2~3枚、バスタオルなら1枚)を用意して、タオルに水を含ませた後に水が垂れない程度に絞ります。また、失敗することも考えて多めに用意するようにしましょう。

2.長い棒を用意する

燃えている鍋に直接タオルをかけるのは非常に危険です。また、むやみに放り投げると油の中にタオルが入って更に炎上してしまうリスクもあります。菜箸やほうき、床用モップなどの柄の部分にタオルをかけて、火から距離を取れるようにしましょう。

3.タオルをかける

油の中にタオルが勢いよく入らないようにゆっくりと両縁に濡れタオルを引っ掛けて完全に蓋をします。多めに濡れタオルを用意した場合は、重ねがけすればより安心です。

4.コンロの火を消す

天ぷら鍋を完全に濡れタオルで覆えたら、コンロの火を消しましょう。ただし、火が消えたように見えても油はまだ高温です。消えたと思ってタオルを取った瞬間に再度発火する恐れがあるため、油が冷めるまではそのままにしておきましょう。

水をかけるのは絶対にNG

揚げ物をする際に水分が多いものを天ぷらにする場合、熱せられて高温になった水が周辺に飛び散りますよね。野菜などに含まれる水分量でもパチパチと飛び跳ねるので、バケツで水をかけてしまったら高温の油が一緒に飛び散り周囲にも引火して更に炎上してしまいます。また、水も急激に温められて気化することで水蒸気爆発にもつながり大変危険なので絶対にやらないでください。

火災保険は忘れずに

消火活動も無事に終わったはいいものの、キッチン周辺の壁紙はススで真っ黒に汚れてしまうので貼り替える必要があります。鍋に火をかけっ放しにした自分が悪いのだから保険では補償されないと諦めないでください。火災保険の基本補償である「火災、落雷、破裂・爆発」で壁紙の張替え費用が補償されますので、保険会社の事故受付センターにまずは連絡しましょう。

また、マンションの場合にはスプリンクラーが作動して家具や電化製品などの家財にも被害が及ぶことや、その水が階下の居住者に損害を与えてしまうこともあります。これらは家財の補償や個人賠償責任で補償されますので、基本補償だけでなくその他の補償項目も予め確認しておくことをおススメします。

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